【技術メモ】自分なりのDevOps思考整理
自分なりのDevOps思考整理
仕事で聞かれたので長文メールで返したが、個人的にも整理のために、メールを転記してまとめておく。(2017-04-19時点での見解。)
内容
- DevOpsに関連した”運用の”具体的な仕組みとツールを示すための参考となる情報
- DevOpsの概念
を回答できればと思います。
1.具体的な仕組みとツール
案件、業務、お客さま文化等はあえて意識せず、一般論で列挙します。
アジャイル
「最小のコストで最大の価値を得る。」
- 純粋なDevOpsをやろうとすると「アジャイル」という開発手法がほぼ必須。
- 本当に必要なものから、最小限で動くものを作って、徐々に拡張する進め方。
- アジャイルで速く作ったものを、次はどう速くリリースするか、がDevOps。
- 開発方法論の話になるので、細かい説明は省略。
⇒調べる場合は、”アジャイル宣言”、”XP”、”Scrum”、”ユーザーストーリーマッピング”といったキーワードを押さえるとよいと思います。
CI/CD(継続的インテグレーション、継続的デプロイ)
「作ったものは常にテストする。」
- 必然と、テストしやすい設計になる。 →TDD(テスト駆動開発)
- 小さい変更毎にコミットする。動かないときの影響がため。→Git/GitHub
- テストは自動実行。手作業ではやってられない。→JenkinsからJUnit+SonarQube
- 動いたものは試験サーバに自動デプロイ・テスト→Jenkins+Ansible、Selenium
- 商用DBを完全再現(重要情報はマスク)してデータ起因のバグもつぶす→Delphix
Infrastracture as Code、リリース、オートスケール
「OS・MW設定もコード管理する。」
- 仮想OSで即座に開発・試験環境構築。→VirtualBox、Vagrant
- インストールや設定はコード化によって作業ミス撲滅。→Ansible、Terraform
- サーバ情報はシステム的に一元管理。→Serf、Consul
- サーバ状態確認もテストコード化。リグレッションテストも。→Serverspec、Infrataster
- コンテナ化でさらに構築スピードアップ。→Docker、OpenShift、Kubernates
- サーバ設定の手作業修正は完全NG。→Immutable Infrastructure
- 本番サーバ複数台に自動デプロイ/エラー時に切り戻し→Ansible+Capistrano
- RDBのDDLもバージョン管理。切り戻しも可能。→Flyway
- サービスを止めずにリリース。いわゆる縮退。→Rolling Deploy
- 完全2面化で無停止リリース。→Blue-Green Deploy
- 一部の顧客に先行試験的に新機能リリース。A/Bテスト的な。→Canary Release
アプリケーション性能管理(APM)、モニタリング、監視
「稼働状況はリアルタイムで把握。異常は即時検知して即時通知。」
- リアルタイムエラー監視。→ZABBIXで監視、Prometheusで可視化。
- リアルタイムログ収集。→fluentdで一括収集、Elasticsearch/kibanaで可視化。
- アプリケーション性能監視。→NewRelicでボトルネック分析・可視化。
- イベント、アラート通知。→Slackで即時通知。緊急リブートもチャットから可能。
- 障害時自動架電。→Pagerdutyで自動電話連絡。
以上、一言ずつですがポイントとなるツールや仕組みになります。
2.DevOpsの概念
背景
DevOpsは言葉の通りDevとOpsが協力することを表しますが、その背景が重要です。
システムは根本的に、ビジネス的なニーズに合わせて変更するのが必然です。
- 様々なニーズに合わせて柔軟に変更することで、利益・成果を増やしたい(=Biz)
これを作るのが開発、動かすのが運用、ここで組織の目的に相反がうまれます。
- 新しい機能を開発したい、どんどん変更したい(=Dev)
- 安定して運用したい、できるだけ変更したくない(=Ops)
しかし、この相反は本質的ではなく、安定運用しつつも、新しい機能を開発できるはず。
どうすれば可能かを追求する、これがDevOps。※Biz-Dev-Opsとも言う。
目的
DevOpsの目的は、「より早く、より確実に、利用者にサービスを提供すること」。
(Why-What-Howで考えると、協力することはHowであって、Whyは上記。)
前提
また、「Ops」という名前がついてはいますが、あくまで「変更」が前提です。 変更されない(変更が少ない)システムに対して、DevOpsを適用しても、かけたコストに見合うリターンは見込めない可能性があります。
例えば、テストを自動化すれば「何かが楽になる」と考えられている場合、それは間違いです。 テストを自動化すること自体には、高いスキルとコストがかかります。 下手をするとメンテナンスがされなくなり、次第に修正すらできなくなり、高いコストをかけたものがまったく無駄になることも少なくありません。 繰り返し実行して初めてコストに見合うだけの成果と品質が得られるものです。
対象
「SoE」「SoR」という考え方があります。
- SoR:System of Record。
- 記録のシステム。
- 従業員向けや、ERPパッケージ。確実で・正確であるべきもの。
- SoE:System of Engagement。
- 絆のシステム。
- 契約企業向けや、会員サイト。信頼は保ちつつ進歩していくもの。
SoRは、何よりも確実に動くことが最優先です。 こういったシステムはITILベースでの包括的な運用が向いています。
SoEは、確実でありつつ、満足度を高めなければいけません。 こういったシステムの方がDevOps向きです。
さらに不特定大多数を対象とするシステムだと、 誤差のようなエラーは許容してでも、サービスを刷新し続ける、という考え方もあり、 これこそDevOpsに見合うシステムだと、個人的には思います。
最後に、ほとんど走り書きみたいになってしまってすみません。
今回は、要求事項に含まれてしまっていることを踏まえると難しいところですが、 前半で並べた仕組みやツールも中途半端に使うと苦労すると思いますので、 ご注意いただければと思います。
とりいそぎ、まとまった情報として参考になる書籍、スライドのリンクも貼っておきます。
参考書籍
DevOps関連は書籍が少ないですが、ゼロから全体を把握するならこちらがいいです。
Cloud First Architecture 設計ガイド(日経BP Next ICT選書)
- 作者: 鈴木雄介
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/08/25
- メディア: Kindle版
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現実的に、「自動化」「安定稼働」だけならDevOpsにこだわる必要はないと思います。
Release It! 本番用ソフトウェア製品の設計とデプロイのために
- 作者: Michael T. Nygard,でびあんぐる
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2009/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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インフラ管理者のためのRun Book Automation実践ガイド?オープンソースによるシステム管理自動化入門
- 作者: 志茂吉健
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2013/10/30
- メディア: Kindle版
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ウェブオペレーション ―サイト運用管理の実践テクニック (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者: John Allspaw,Jesse Robbins,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2011/05/14
- メディア: 大型本
- 購入: 10人 クリック: 923回
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参考スライド
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